スマホで手軽に楽しめる「ショート動画」は、今やTikTokやYouTube Shortsを中心に、世界中で爆発的に利用者を増やしています。移動中の暇つぶしや、短時間で役立つ情報を得られる手軽さが人気の理由ですが、実はビジネスの面でも巨大な市場に成長しつつあります。では、実際にショート動画の市場規模はどれくらいなのでしょうか?最新の調査データをもとに整理してみましょう。

世界のショート動画市場は数千億ドル規模へ
調査会社によって予測値に差はありますが、共通しているのは「これからも拡大し続ける」という点です。
たとえば Grand View Research の調査では、2022年時点で約15億ドルの市場規模が、2030年には約32億ドルまで成長すると予測されています。さらに Mordor Intelligence でも、2025年に約20億ドル、2030年には31億ドルに達すると試算。比較的コンパクトな数字に見えますが、これは「狭義のプラットフォーム市場」に限定した見方です。
一方で、より広義の定義をとる調査では規模感が一気に変わります。Coherent Market Insights では2032年に1,000億ドルを超えると予測し、Market Research Future や Business Research Insights では2030年代に向けて数千億ドル規模に達するとしています。
つまり「どこまでをショート動画市場と呼ぶか」によって数字は大きく変動しますが、確実に数十億ドルから数千億ドル規模へ拡大していく産業であることは間違いありません。
日本のショート動画市場は広告が牽引
日本国内では、ショート動画そのものよりも「広告市場」としての成長が注目されています。
縦型ショート動画広告 は2024年時点で約900億円の市場規模を持ち、2028年には2,000億円規模に達すると予想されています。さらに、動画広告市場全体では2026年に1兆2,000億円を突破すると見込まれており、その中心的な役割を担うのがショート動画です。
つまり、ユーザーが「気軽に見られる」動画を好む傾向が広告費を押し上げ、企業がこぞってショート動画マーケティングに投資している状況です。
新しい潮流「ショートドラマ(マイクロドラマ)」市場も急成長
さらに近年、ショート動画の中でも「ショートドラマ」「マイクロドラマ」と呼ばれるジャンルが急成長しています。
世界全体では2023年時点で約8,000億円の規模があり、2029年には8兆円を超えるとの予測も出ています。特に中国市場は巨大で、すでに映画市場を上回る勢いを見せています。
実際にアプリ「ReelShort」は、2025年までに3億7,000万ダウンロードを達成し、7億ドルの収益を生み出した事例もあり、ユーザーが「短くても物語性を楽しみたい」という需要を強く示しています。
まとめ:ショート動画は「娯楽」から「巨大産業」へ
ショート動画は、単なるエンタメの流行にとどまらず、広告、教育、エンタメ産業全体を巻き込む巨大な市場に成長しています。
- 狭義のプラットフォーム市場:数十億ドル規模
- 広義の市場(広告・ショートドラマ含む):数千億ドル〜数兆円規模
- 日本国内の広告市場:2028年には2,000億円規模
今後も5G通信の普及やAIによる動画制作の効率化が進めば、ショート動画の需要はさらに拡大していくでしょう。企業にとってはマーケティングの主戦場に、個人にとっては自己表現や収益化のチャンスに。ショート動画市場はこれから数年間、確実に注目しておくべき分野だと言えます。

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